伝統歌舞伎保存会について

事業と財務

令和元年度 事業報告
 
令和2年度 事業計画
  【2020年度正味財産増減予算書】

I.令和元(2019)年度 事業報告

(平成31年4月1日~令和2年3月31日)※平成31年は5月1日より令和元年と改元

【I】歌舞伎の技芸の研修と伝承者養成

(1) 新人研修(国立劇場の養成事業)

日本芸術文化振興会(国立劇場)との協同事業として講師派遣などを行った。
2019年度に実施した研修
・第24期 歌舞伎俳優研修 1年目(2年間) 4名研修中
・第8期 歌舞伎音楽(長唄)研修 1年目(3年間) 1名研修中
保存会は、国立劇場養成課と連携して、役員によるレクチャーを含め、カリキュラムの内容の充実を進めた。
また、これまで隔年に行っていた歌舞伎俳優研修生募集が毎年募集になり、第25期生の応募者の選考試験に協力した。

(2) 伝承者養成事業(既成俳優の研修事業)

公演が多忙なため、既成者研修は実施できなかった。

(3) 稽古費用等補助

名題および名題下俳優を対象に、各自が自主的に参加する日本舞踊と歌舞伎音楽(長唄、鳴物、竹本、常磐津、清元ほか)の稽古費用の一部を研修手当として補助した。
延べ39名、支給総額は2,121,000円であった。

(4) 研修発表会の開催

第24回伝統歌舞伎保存会研修発表会(令和1年12月21日 国立劇場大劇場)
 担当理事:松本白鸚常任理事
 「座談会」「ご挨拶」「傾城反魂香」土佐将監閑居の場

第25回伝統歌舞伎保存会研修発表会(令和2年1月18日 国立劇場大劇場)
 担当理事:尾上菊五郎会長
 「仮名手本忠臣蔵」五・六段目、「お楽しみ大喜利」

上記の研修を行い、その成果を見せる発表会を2回開催した。

(5) 研修発表公演、勉強会への協賛

日本芸術文化振興会(国立劇場)が主催する研修発表公演「第25回 稚魚の会・歌舞伎会合同公演」(8/15~29)、「第21回 音の会」(8/10~11)、「第29回 上方歌舞伎会」(8/24~25)に協賛した。

【II】資料収集整理(記録作成と保存)

戦後(昭和20年以降)の歌舞伎公演で活躍した歌舞伎音楽演奏家(竹本、長唄、鳴物、常磐津、清元、新内、三曲)の物故者のデータを調査し、そのプロフィールの執筆のために取材、インタビューや座談会、資料調査、原稿の執筆と編集を行い、『歌舞伎音楽演奏家名鑑-思い出の名演奏家たち』として刊行した。あわせて、昭和48年に創刊され、平成12年まで発行された長唄演奏家たちによる季刊誌「きがく」を復刻して別冊としてセットで刊行した。

【III】普及事業

(1) 「小学生のための歌舞伎体験教室」

対象は、公募による首都圏の小学生(4、5、6年生)希望者。プログラムは、参加児童が歌舞伎の楽しさと伝統芸術としての魅力を体験できるものとした。

  1. 国立劇場の七月歌舞伎鑑賞教室公演『菅原伝授手習鑑 -車引-』と『棒しばり』を鑑賞したあと、国立劇場の舞台機構の体験(7/6)
  2. 「体験教室」ガイダンスと浴衣の着付け、立ち居振る舞いのお稽古(7/14)
  3. 国立劇場の稽古場で歌舞伎の実技と結髪と衣裳、竹本、立廻りの体験(8/17~8/20)
  4. 「寿曽我対面」の舞台稽古と発表会(8/21~8/22)

以上の事業は(独)日本芸術文化振興会、松竹株式会社、(公社)日本俳優協会の協力を得て、文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の委託事業として行った。

(2) 『かぶき手帖2020年版』の刊行の準備をした

令和2年版は、都合により5月1日付の発行となった。公益社団法人日本俳優協会、松竹株式会社との共同事業として、準備作業を行った。

(3) 伝統歌舞伎保存会ホームページのリニューアル

歌舞伎の技芸の継承のための本保存会の活動をひろく一般に広報するためのコンテンツの充実と、当法人の情報公開などのために、ホームページの充実につとめた。

II.事業報告の附属明細書

特に記載する事項は無い。

令和2(2020)年度事業計画書

(2020年4月1日~2021年3月31日)

【基本方針】

本保存会が一般社団法人へ移行してからの定款に定められた事業は、以下の通り。

第4条 この法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。

  1. 伝承者の養成に関する事業。
  2. 伝統的な歌舞伎の技芸の研修及び研究会、発表会等の開催に関する事業。
  3. 伝統的な歌舞伎に関する調査研究と記録作成及びその成果の公表に関する事業。
  4. 伝統的な歌舞伎に関する資料の収集整理に関する事業。
  5. 伝統的な歌舞伎を普及させるための事業。
  6. その他この法人の目的を達成するために必要な事業。

上記の定款に則して、今年度に実施する具体的な事業は以下の通り。

(1) 伝承者の養成に関する事業

日本芸術文化振興会(国立劇場)との共同事業として、
・第 24 期歌舞伎俳優研修(2年目。現在4名)
・第 25 期歌舞伎俳優研修(1年目。現在募集中)※2020年1月31日〆切り
・第 8 期歌舞伎音楽(長唄)研修(2年目。現在1名)
・第 24 期歌舞伎音楽(竹本)研修(1年目。現在募集中)※2020年1月31日〆切り
・第 17 期歌舞伎音楽(鳴物)研修(1年目。現在募集中)※2020年1月31日〆切り
以上の研修に講師派遣を行う。

(2) 伝統的な歌舞伎の技芸の研修及び研究会、発表会等の開催に関する事業

伝承者養成事業(既成俳優の研修事業)については、従来通り、次の4種類とする。

  1. 長唄(唄・三味線)、鳴物(囃子)、竹本(義太夫語り)
  2. 日本舞踊
  3. 歌舞伎の演技、せりふ術、芸話、講義
  4. 立廻り

また、名題および名題下俳優が自主的に行う日本舞踊や歌舞伎音楽の稽古に対して、補助金を出すことで伝承者の技芸の充実をはかる。
国立劇場などの歌舞伎公演の合間に研修を行い、その成果を発表する「研修発表会」を年2回程度開催する。研修課題の演目と配役等は、実施月の劇場出演理事を中心に決定する。

(3) 伝統的な歌舞伎に関する調査研究と記録作成及びその成果の公表に関する事業

本保存会は、歌舞伎音楽(竹本、長唄、鳴物、常磐津、清元、新内、三曲)の演奏家で、現在、歌舞伎公演に出演する演奏家の具体的な功績とプロフィールを調査し、平成28年に『平成28年版 歌舞伎に携わる演奏家名鑑』を調査刊行したが、その後4年を経るので、最新のデータを調査更新して『令和2年版 歌舞伎に携わる演奏家名鑑』として刊行する。

(4) 伝統的な歌舞伎に関する資料の収集整理に関する事業

歌舞伎の技芸を保存継承するために必要な資料を収集整理し、会員等の閲覧に供する。

(5) 伝統的な歌舞伎を普及させるための事業

これまで毎年の夏休みに実施してきた「小学生のための歌舞伎体験教室」は、文化庁の「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」に応募し、採択されると文化庁から委託を受ける形で実施してきた。しかし今年度から新たに国庫補助事業の一環と認められ、国庫補助金が増額されることになったので、その範囲で実施する。
対象は、公募による首都圏の小学生(4,5,6年生)希望者とし、プログラムは参加児童が歌舞伎の楽しさと伝統芸術としての魅力を体験できるよう、従来の内容を継承しながら一部見直して作成する。
具体内容は、国立劇場の大稽古場などを借りての結髪の見学や義太夫の体験、立廻りにふれる等のプログラムと並行して、「寿曽我対面」の本読みから実技の体験を行い、最後日に国立劇場小劇場で発表会を行う。(独)日本芸術文化振興会(国立劇場)の協賛、松竹株式会社と(公社)日本俳優協会の協力を要請する。

(6) 「かぶき手帖」2020年版、2021年版の刊行

『かぶき手帖2020年版』の刊行については、(公社)日本俳優協会、松竹株式会社との共同出版事業として、2020年5月1日発行の予定とする。また2021年版については、2021年1月2日発行の予定とする。